薔薇色狂想曲

碧は何を言っている?

頭がパンクしそうだ。

「悪い、碧。

……ちょっと整理させてくれ」

そう言って、俺は少し部屋を出て、ワークスペースのソファーに腰を下ろした。

碧は、俺が思っていた以上に、自分のキャリアと俺との今の生活をの行く末を考えていた。

碧に甘えて、彼女の優しさに寄りかかっていたのは、俺の方だったのではないか。

プロポーズ、自身なくなってきたな。

碧は、一緒にいるのが俺で本当に幸せなのだろうか。

出てくるのはため息ばかりだ。

バウムクーヘンを無事に持って帰ることで頭がいっぱいで、メールボックスはスルーしていた。

そういえば、そろそろクルーズ船への招待状が来る頃だろうか。

メールボックスに向かうと、案の定、マスキングテープで可愛く装飾された封筒ものがメールボックスに入っていた。

この花火柄のマスキングテープを使用するセンスは、麗眞くんの妻の椎菜(しいな)ちゃんのものだろう。

家に入ろうと思ったが、カードキーを持たずに部屋を出てしまったことに気が付いた。

……もうすぐこの家に住んで1年経つんだが。

『成司、カードキー忘れて出ていったでしょ。

カバンからはみ出てたし。
開けておいたよ』

碧から連絡が来ていた。

……自分の彼女が救世主に見えた。