正臣ep. 1



両足が立たなくなった音羽の介護はしんどかった。
日常的に風呂、食事、トイレ、外出の全てを一人でこなさなければなかった。


外出の時なんざ向こうの父親に口酸っぱく嫌味を言われ正直殴りたくなった。


「厄病神」


「あっちの家族と大違いだなぁ」


比べものにされて、揶揄されて、小銭袋を投げつけられたりもした。


帰宅後同調するように
喋らなくなる音羽。

最低限の介護をして後は自由にして。と言っているかのようだった。
優しさともとれたが、僕は煩悩がすごく、イライラが増した。

なんで我慢しなきゃいけないんだ?

なんでこんな制限されないといけないんだ?

とーー…。