愛の栞


こんな話までする筈じゃなかったと思い、つい萎縮してしまう私だったが、落ち着いてる彼の様子に世間話するのも物怖じしなくなった。


「なんでさっき、………キスしたの?」


駅より10分遠いカラオケ店の前辺りで聞いてみた。


「……」



無言で押し切ろうとする彼に周りの雨音が強くなるのを気にして、
彼の耳元で叫んでやった。


「あまり小さな声で喋られても!


こっちは聞こえないから!
ちゃんとはっきり
声に出して答えてね!」