愛の栞


なんでいきなりキスされるのか
意味が分からなかった私は

相手の腕力を振り解き
頭ん中では例年例月悩まされているナンパ・ストーカーを浮かばせていた。


キッと睨みつけると
相手は力をなくしたかのように
下に下りしゃがみ込んだ。


「キャー、韓ドラの続きよー!!」


「喧しいな、あんたは帰ってドラマ見ときなさい、
赤の他人の人生ドラマみるんじゃないのー!!」



なんて、ありもしない偶像劇を店内から出てきた客人にでっち上げられ、私は歯痒くなった。