僕の名前は戸塚正臣(まさおみ)。

正義の大臣らしくあれ、と韓国歴史ドラマに見惚けた母親がつけた名前だ。


父は家のことは放置主義。裏で女と呑み遊んでるって口伝えにあったり、帰ってきては人間とではなく、庭で猫と戯れる、人間味のない人である。


母は昔から人に優しく、というのがモットー。家に帰ってきても家族と出先でもあんな調子の父親に対して頭しか下げてこなかった母親。無味無臭人間に情を示し続けて徳があるのか。僕は考えさせられた。

だがこれからも考えさせられ続けるとは知らずに今までただ、ポカンと生きていたーー……