初恋初雪



黒髪の間から見えるピアスが光を反射してキラキラしてる。


「何、どしたの?」


私の視線に気づいた先輩が私を見て言った。


そんな不意打ちに、私の顔は一気に熱くなる。


先輩から視線を逸らして両手で顔を触ってみると本当に熱かった。


「結子ちゃんは俺が嫌いみたいだね」


先輩はポツリと言ってココアをひと口飲む。


その横顔は冷たく、寂しかった。


なんで…?


先輩はなんでそんな風に言うの?


なんでそうなるの…?


ココアを持って先輩は郁奈たちのところに行ってしまった。


永峰先輩や郁奈と楽しそうに話す先輩。


私だけひとりぼっちだ…。


気まずい空気のまま時間だけが過ぎていく。


時計に目をやれば午後3時になるところだ。


「あ、そろそろ帰るか」


永峰先輩が言って、大翔先輩も頷く。


「もう帰っちゃうんですかぁ?」


残念がる郁奈の頭を、永峰先輩が優しく撫でた。


嬉しそうな郁奈。


そんな2人が羨ましくてしょうがないよ…。


結局大翔先輩とはあれから一言も喋ってない。