高校に入ってからの部活見学で、郁奈は永峰先輩に一目惚れした。
茶色い髪に綺麗な顔立ちの永峰先輩は、私たちと同じ学年の女子からも人気が高い。
来月はクリスマスもあるし、今月中に告白するって言ってたっけ。
すごいな…。
私にはそんな勇気ない。
「お邪魔します」
先輩たちは靴を脱ぎながら言う。
先輩たちが家に来るのは初めてだから緊張する。
永峰先輩の私服姿は初めてだけど、大翔先輩の私服は二度目だ。
高校生になる前、中学3年生のときに高校2年生の大翔先輩に会ったことがある。
その日も初雪が降っていた。
少しだけ積もってたのに、私はよそ見をしながら歩いてたから滑って転んじゃったの。
周りに人はいなくて、服も濡れて最悪だった。
でも足音が聞こえて顔を上げたら大翔先輩が立ってたんだ。
「大丈夫?」
って優しく手を差し伸べてくれて、私は初めての恋に落ちた。
それから進学した高校に偶然にも、大翔先輩がいたの。
ちょっとだけ運命を感じてしまった。
「結子ちゃん、どうかした?」
声をかけられて現実に引き戻された私の目の前には、大翔先輩の顔があった。


