夏休みが開けて直ぐにテスト。2週間がたった頃の総合で結果を返された。
「白瀬莉桜さん」
 みんなは点数を教え合って楽しんでる。けど私は勉強なんかどうでもいい。
「白瀬さん。この点数はなんですか?ちゃんと勉強してください。夏休みあれだけ時間があったじゃないですか。」
 あいづちをしながらも話しはほとんど聞いてない。夏休みはずっとバレーをしていた。勉強なんか大っ嫌いだ。
「このままじゃ進路にも響きますからね?部活動の推薦で行くにしろ勉強はしてください。」
 進路なんかあと1年ある。そんなの今考えなくてもいいよね。
「りーおー怒られてやーんの!」
 斜め前の詩帆。保育園からの幼なじみ。ちなに隣も同じく幼なじみの大輔。2人は別に私をバカにできる程ではないけどまぁまぁ頭は良い。
「お前もさ、少しは勉強したら?さすがに、数学7点はないだろ笑」
「うるさいな!7点取れてるだけまし!」
 今の私にはバレーしかない。

 放課後は部活。詩帆と一緒に体育館へ向かう。
 走り込みとかぶっちゃけ面倒だし筋トレも嫌い。サボりたいくらい。
「お願いします」
 顧問はいつも同じことばっか。つまんない自慢話だけ。アドバイスとかないのかな。
「失礼します」
 "ファイトー!よーし!頑張ろうー!よーし"
 あー早く走り込みだるい。
「お願いします」
「失礼します」
 今日も4:20から始まった部活は6:20で終わり。サッカー部もバレー部と練習時間、練習日が同じ。
 校門で詩帆と話しているところに遅くなった、と大輔が来た。一緒に帰りたいわけじゃないけどいつも待ってしまう。
 家に帰るといつもSNSを見る。すると1件の通知。
「詩帆:隣のクラスの高橋いるじゃん?莉桜と連絡先交換したいってー」
 あー高橋くんか。同じクラスにはなったことないけど、同じ委員会。でも話したことは1度もない。詩帆には別にいいよと返しておいた。
 お風呂から上がるとまた通知が来ている。
「けいた:隣のクラスの圭太です!詩帆ちゃんから連絡先教えてもいました!」
 名前の欄にひらがなでけいたと書かれてる。多分高橋圭太くんかな。
「はじめまして。莉桜です。よろしくね」
 お風呂に入ったりしていたせいで1時間くらいスマホを見てなかった。けど、高橋くんはすぐ返信してきた。
「よろしくお願いします!」
 別に同い年だから敬語じゃなくてもいいよね。
「よろしくね。敬語じゃなくて大丈夫だよ。」
 どっかの誰かさんとは違って返信は早い。詩帆はまだ私が返したメッセージ見てないし。
「ほんと?ちなみに俺のことわかる?」
 そりゃもうちろん。学校1モテるって言われてる野球部のピッチャー。委員会も同じだし顔はわかる。
「わかるよ。高橋くんは私の事わかるの?」
 私は成績はお世辞でもいいとは言えないし、モテないし...私の事わかるのかな。
「わかるよ!委員会同じだしね!」
 あ、わかるんだ。私は人見知りであまり友達居ないタイプ。高橋くんの友達に知り合いは居ない気がするけど。
「そうなんだ。ごめんね。今日部活で疲れてて眠いんだ。」
 時計の針は11を指そうとしている。寝るのが好きな私はもう既に眠さの限界が来てる。
「そっか、こっちこそごめんね。それじゃまた後で!」
 高橋くんは眠くないのかな。
「うん、おやすみ」

 毎朝6時半には起きる。目覚ましを止めた時にふと目に入った。
「けいた:おはよう!」
 朝が大っ嫌いだと言うのにメールなんかしてたら時間がなくなってしまう。
「おはよ。」
 これだけ返して朝食を食べる。食べ終わった頃には7時半。うちの学校は8時までに登校しなければいけない。でも15分くらいで着くから、朝は詩帆の家まで行って一緒に学校に行っている。
「おはよーてか!高橋と話したの?」
 なんか食い気味に聞いてくる...
「うん。まぁね」
 大したことは話してないけど。
「そっかーなんで莉桜の連絡先欲しかったんだろう。」
 確かに言われてみれば。仲良い友達なら交換してるけど、話したことも無い高橋くんか。ちょっと気になる。
「今日聞いてみようかな。」

 朝のHRを終え廊下で友達と話していると、三組も終わったらしく、人が出てくる。その時、高橋くんもいた。あっ、目が合ったみたいな顔されたけど、私人見知りだし話しかけられない。
「どうしたの?」
 高橋くんを見てたせいで全然話を聞いてなかった。それより移動教室遅れちゃう。
 その日の昼休み。詩帆がトイレに行ってくると言ってたから先に1人でお弁当を。後ろから足音が聞こえるから詩帆が帰ってきたんだ。
「りーおー高橋と話した?」
 どうせわかってるくせに。
「話してないけど。てか大輔!?」
 えーっと、なんで大輔?てか話したっけ?それとも詩帆が話した?
「なんだよ笑。そこに居んじゃん、高橋。話してくれば?」
 無駄にノリノリ。大輔のこういうところ呆れるわ。突然大輔に背中を押された。ほんとにやなんだけど。高橋くんが目の前に。
「は、はじめまして...莉桜です...」
 メールでは敬語じゃなくていいよとか上から目線だったくせにいざ話すとなると敬語なってしまう。
「俺、高橋圭太です!よろしくね。」
 周りから見れば高橋くんは中学2年で180近くある高身長イケメン。でも、私自身170もあるせいで何とも思わない。みんなだっらドキドキしてたのかなー、なんて。
「背、高いね」
「まぁね。白瀬さんも高いよね。」
 世間一般的に見れば高い方なのか。バレーしてるから高身長は嬉しい。けど、小さい女の子の方が可愛くて羨ましい!
「そんなさんとか付けなくていいよ笑」
「なら、白瀬?ちょっと嫌かな笑」
「ううん。白瀬でいいよ。しっくりくる。」
 苗字で呼ばれるのは学校の先生くらい。全然しっくりなんか来てない。
「そういえば昨日なんで連絡先欲しかったの?」
 私が疑問に思ってることを聞くと、野球部の仲間に連れられて行ってしまった。また後で聞けばいいか。