現実世界では、中学生になっても、相変わらず親からは虐待され、学校でも皆に無視されて過ごしている私だが、もう一つの世界では、新しい友達が次々に出来て、彼氏まで出来た。

微妙に現実世界と違うのは、学校も家も全く同じという訳ではなく、私自身も、見た目も中身も自分の理想通りになっている。

ブロンドの巻き毛に、青い瞳。

成績優秀、スポーツ万能、ピアノとフルートが得意。

一方、空想の彼氏はというと、何故か和風の美少年で、いつだって優しく接してくれている。

何かと矛盾があったとしても、そんなことはどうでもいい。

自分にしか見えない世界なのだから、設定がハチャメチャだろうと人に迷惑がかかるわけでもないだろう。

ただ、ある日突然、現実世界では大きな変化があった。

「この子…ついに頭がおかしくなったのね」