「どうして、月城くんがここに?」
 すると、月城くんは少し照れくさそうに笑って。
「ここがオレの家だから」
 と、目の前にあるカフェを指さした。
 赤レンガ作りのしゃれた雰囲気のただよう小さなお店。
「今日は店の手伝いしてて。そしたら窓の外が騒がしかったんで、助けなきゃ! って自然と身体が動いちゃって」
 そうだったんだ。月城くんって勇かんだなぁ。
「おかげで助かったよ。なんてお礼を言ったらいいか。あの、もしあたしにできることがあったらなんでも言ってね!」
 と返すと、月城くんは、くりっとした目をパチパチッとまばたきさせて。
「ホント? だったら、頼みたいことがあるんだけど」
「頼みたいこと?」
 すると、月城くんはギュッとあたしの手を取って。
「くわしい話は店でするね! ついて来て」
 と、笑いかけた。
 わわっ!
 ちょっと強引だけど、月城くんのこの笑顔見てると、つい引きこまれちゃう。
 不思議だな……。