サンタ帽をかぶった男の子があたしの顔を見上げた。
くりっとした子犬みたいな目がかわいくて、あたしの心臓は、キュンッと小さな音を立てる。
「大丈夫? ケガはない?」
「え!? あ、はい。大丈夫です!」
しまった、今はときめいている場合じゃなかった!
そのあと、騒ぎを聞きつけたまわりのひとが手伝ってくれて、ひったくりのオッサンは警察へ連れて行かれた。
ふぅっ、一時はどうなることかと思っちゃった!
「大変だったね、はいこれ。年末はぶっそうなこともあるから気をつけてね」
男の子があたしにバッグを差し出す。
「あ……ありがとうございますっ!」
「いいって、ケガがなくて安心したよ。星野さん」
ホワッと浮かぶやさしいほほえみ。
あれ? なんであたしの名前を?
そういえば、前にどこかで会ったことがある。
どこだったっけ……?
あたしはサンタ帽の男の子をまじまじと見つめた。
つやのある栗色の髪、くりっとした丸い目に、形のよい鼻、ニッと笑みをたたえた口元。
白いシャツの上からこげ茶のカーディガンを羽織ってて、黒いスラックスがよく似合う長い足。
胸元にはコーヒーカップのバッジがついている。
「オレ、来てくれたお客さんのことは絶対忘れないから」
そうだ、このひと。
三組の月城くんだ。
今年の文化祭で、三組は執事喫茶やってて、そのとき大人気だったのが月城くん。
クールなタキシード姿と、にこやかな甘い笑顔のギャップが女子に大ウケで、アイドルみたいな人気を誇ってたんだよね。
あたしも友だちと行ってみたけど、三組の前には月城くん目当ての行列ができててビックリしちゃったほど。
さらに外見だけじゃなくて、淹れてくれるコーヒーやスイーツもとっても好評で。
なんでも月城くんの家、カフェを経営してて、執事喫茶に出す飲み物やお菓子も全部、月城くんが監修したんだって。
あのとき飲んだコーヒー、とってもおいしかったの、今でも強く印象に残ってる。
アイドルみたいに手の届かない存在だから、あたしとはまったく縁がないひとだと思ってたけど――。
くりっとした子犬みたいな目がかわいくて、あたしの心臓は、キュンッと小さな音を立てる。
「大丈夫? ケガはない?」
「え!? あ、はい。大丈夫です!」
しまった、今はときめいている場合じゃなかった!
そのあと、騒ぎを聞きつけたまわりのひとが手伝ってくれて、ひったくりのオッサンは警察へ連れて行かれた。
ふぅっ、一時はどうなることかと思っちゃった!
「大変だったね、はいこれ。年末はぶっそうなこともあるから気をつけてね」
男の子があたしにバッグを差し出す。
「あ……ありがとうございますっ!」
「いいって、ケガがなくて安心したよ。星野さん」
ホワッと浮かぶやさしいほほえみ。
あれ? なんであたしの名前を?
そういえば、前にどこかで会ったことがある。
どこだったっけ……?
あたしはサンタ帽の男の子をまじまじと見つめた。
つやのある栗色の髪、くりっとした丸い目に、形のよい鼻、ニッと笑みをたたえた口元。
白いシャツの上からこげ茶のカーディガンを羽織ってて、黒いスラックスがよく似合う長い足。
胸元にはコーヒーカップのバッジがついている。
「オレ、来てくれたお客さんのことは絶対忘れないから」
そうだ、このひと。
三組の月城くんだ。
今年の文化祭で、三組は執事喫茶やってて、そのとき大人気だったのが月城くん。
クールなタキシード姿と、にこやかな甘い笑顔のギャップが女子に大ウケで、アイドルみたいな人気を誇ってたんだよね。
あたしも友だちと行ってみたけど、三組の前には月城くん目当ての行列ができててビックリしちゃったほど。
さらに外見だけじゃなくて、淹れてくれるコーヒーやスイーツもとっても好評で。
なんでも月城くんの家、カフェを経営してて、執事喫茶に出す飲み物やお菓子も全部、月城くんが監修したんだって。
あのとき飲んだコーヒー、とってもおいしかったの、今でも強く印象に残ってる。
アイドルみたいに手の届かない存在だから、あたしとはまったく縁がないひとだと思ってたけど――。