そして、気がつけば閉店の時間。
 ふうっ。忙しかったけど、楽しい一日だったな。
「おつかれさま、星野さん」
 お店の片づけを終えた月城くんが、あたたかいチャイを出してくれた。
「ホイップクリームとジンジャークッキーがのってる! クリスマス仕様だね」
 シナモンの香ばしさと、チャイの濃厚な甘みで一日の疲れもふっ飛んじゃいそう。
「今日はどうもありがとう。星野さんがいてくれて助かったよ」
 ふわっ、とやさしいほほえみを浮かべる月城くん。
「え?」
 あたし、なんかしたっけ?

 月城くんはニコッと笑って。
「ほら、マリカちゃんのこと。好きな曲プレゼントしてあげただろ。オレだけだったら、ちっちゃい子のことどうなぐさめていいか分からなかったから。星野さんが助けてくれて、ホント、すごくホッとしたよ」
「そんな……大げさだよ。あたしのほうこそ、月城くんにさそってもらって感謝してるんだ。ホントはひとりぼっちでクリスマスイヴ過ごす予定だったし。それに――」
「それに?」
「こんなふうに誰かのために一生けん命になれるクリスマスって今まで体験したことなかったから。今までは自分が楽しむばっかりだったけど、こうやってたくさんのひとを笑顔にするクリスマスもいいな、って思って。なんか、自分がサンタクロースになったみたいでね」