遥さんを助手席にエスコートしつつ、不満を示す。ここでの生活基盤を整える努力を惜しまない彼女を尊敬する、誇らしい。しかし、寂しくもあって。
「す、すいません。恋人として物足りないですよね? 私ってば帰ったらすぐ寝ちゃうし」
「疲れ果てた貴女を叩き起こしてまでスキンシップをしたいとは言ってませんーーそれは峯岸への手土産ですか?」
膝の上に置かれた紙箱を指摘した。忙しい合間を縫ってスイーツを作るくらいなら、その意識をこちらへ向けて欲しい。我ながら独占欲にまみれ、嫌になる。
遥さんはますます綺麗になり、レストランでは彼女目当ての客までいるそうだ。料理の腕を純粋に評価されてのことと信じたいが、どうも遥さんは押しに弱い所がある。
「これは結人さんに」
信号待ちをしていると箱が開かれた。車内に甘い香りが広がっていく。私は甘い物が好きではなかったものの、遥さんが作るスイーツは別だ。ほうれん草やブロッコリーも食べられるようになった。
「私にですか?」
「はい、一口食べませんか?」
「頂きます」
そう言われたら抗えない。車を脇に停め、ハザードをたく。無言で口を開けると、照れながらも食べさせてくれる。
「……美味しいです」
「ふふ、それは良かった」
「もっと食べたいです」
「はい、どうぞ」
求めるだけ口へ運ばれて、なにやら餌付けみたい。懐柔されかかった精神だったが、対向車のライトに照らし出される彼女に引き戻された。
「ーーもっと、もっと食べたい。足りませんよ、遥さん」
貴女を食べたいと伝えると、肌が一緒で熱を帯びる。暗くて見えない真似をし、遥さんの反応を楽しむ。
「でも……峯岸さんは? 待たせたら悪いですし」
「焦らさないで下さい。私は遥さんに餓えてます」
「す、すいません。恋人として物足りないですよね? 私ってば帰ったらすぐ寝ちゃうし」
「疲れ果てた貴女を叩き起こしてまでスキンシップをしたいとは言ってませんーーそれは峯岸への手土産ですか?」
膝の上に置かれた紙箱を指摘した。忙しい合間を縫ってスイーツを作るくらいなら、その意識をこちらへ向けて欲しい。我ながら独占欲にまみれ、嫌になる。
遥さんはますます綺麗になり、レストランでは彼女目当ての客までいるそうだ。料理の腕を純粋に評価されてのことと信じたいが、どうも遥さんは押しに弱い所がある。
「これは結人さんに」
信号待ちをしていると箱が開かれた。車内に甘い香りが広がっていく。私は甘い物が好きではなかったものの、遥さんが作るスイーツは別だ。ほうれん草やブロッコリーも食べられるようになった。
「私にですか?」
「はい、一口食べませんか?」
「頂きます」
そう言われたら抗えない。車を脇に停め、ハザードをたく。無言で口を開けると、照れながらも食べさせてくれる。
「……美味しいです」
「ふふ、それは良かった」
「もっと食べたいです」
「はい、どうぞ」
求めるだけ口へ運ばれて、なにやら餌付けみたい。懐柔されかかった精神だったが、対向車のライトに照らし出される彼女に引き戻された。
「ーーもっと、もっと食べたい。足りませんよ、遥さん」
貴女を食べたいと伝えると、肌が一緒で熱を帯びる。暗くて見えない真似をし、遥さんの反応を楽しむ。
「でも……峯岸さんは? 待たせたら悪いですし」
「焦らさないで下さい。私は遥さんに餓えてます」

