毒舌オオカミ秘書は赤ずきんちゃんを口説きたい

 ファストフードが味気無いと言いたい訳じゃなく、久しぶりに帰国した彼に和食を食べさせたい。こんな風に感じるのは私もまだ料理人なのだろうか。

「いけませんか?」

 甘えた風に小首を傾げてくる。

「味の保証はしませんよ……一生懸命作りますけど」

「ふふ、愛情も込めて下さいね」

「はぁ、またそんな事を」

 甘い台詞を容易く操る結人さんはクスクス笑う。

「楽しみです。あぁ、日本にきて良かった!」

「だから大袈裟ですってば」

「喜びを伝えるには大袈裟すぎる方がいいんです。特に貴女に対しては、ね?」

 とウィンクを添え、私達はスーパーへ足を向けた。

 その後、スーパーでの買い出しでは結人さんがスマートに支払いをして荷物を持ってくれる。美術館同様、店内での彼は注目を集め、食材を興味深く手に取る様子にみな釘付けとなった。正直、結人さんは大根を持っても絵になる。

 ふと結人さんと自分がどんな関係に映るのか、疑問がわく。スーツ姿なので仕事関係者と思われると承知していても、にこやかな笑みを一手に浴びるなんて身内と勘違いしてるかも。恋人ではなく、姉や妹とかだけれど。

 その時、胸がチクリと痛むも気付かない振りをした。