毒舌オオカミ秘書は赤ずきんちゃんを口説きたい

「面白いとか、面白くないの問題じゃないと思いますが?」

「私は遥さんを知る過程を楽しみたいんです。質疑応答で得る情報などで貴女を知った気になりたくないので」

 〇〇は好きですか? などと矢継ぎ早に質問するのがスマートじゃないと言いたいのだろう。

「なるほど、ゲーム感覚なんですね」

「会話を楽しもうとの意味です。そんな切り返しをするからゲームで済まなくなるんです。ここで赤面してくれれば白旗を上げるのに」

 まるで私が悪いとでもいう風に肩を竦める。

「降参してくれるんですか?」

「えぇ、貴女の可愛い顔が見られるのなら今すぐにでも」

 次はウィンクをしてきた。

「残念ながら、社交辞令は通用しないので諦めて下さい」

「そうなると、やはり罵らねばなりませんか。女性の望みだろうと闇雲に傷付けるのはポリシーに反しますので的確に罵ります」

 そしてーー笑う。

「日本ではそれを悪口と呼びます」

「失礼、日本に来てまだ日が浅いもので」

「一期一会をご存知ならば『郷に入っては郷に従え』という言葉もお分かりでは?」

 言葉遊びをしつつ互いの距離感を探り、何処まで踏み込んだら遊びでなくなるのか確かめている。

「小腹が空きましたね」

 白旗を上げるポーズをしていた腕が腹部へ沿わされた。