毒舌オオカミ秘書は赤ずきんちゃんを口説きたい

「ネットで調べた程度で申し訳ないのですが」

 前置きして、案内する場所の情報をテーブルへ並べる。

「貴女が全部? こちらを?」

 一枚手に取り、結人さんが唸った。

「はい」

 峯岸斗真ならば検索をかければある程度は人となりを知れる。ところが峯岸斗真の秘書を知るのは難しく、雑誌のインタビューなど目を通しても結人さんに触れた記事は見当たらなかった。
 となると、接した感じで趣味嗜好を探るしかない。彼の第一印象は紳士。女性に優しく思いやりがあり、甘い物は好きじゃない。それからーー。

「情報を精査し、纏められたら良かったんですけど」

「失礼ですが君の職業は? こんな風にプレゼンテーションするのが得意なのかい?」

 私は顔を上げる。

「無職です」

「あ、あぁ、そうでしたね」

「あと得意と言うか、私が出来るのはこういう事しかないからです。時計を今すぐ元通りに出来ないし、正直なところ修理費を満額支払えるか不安もあります。だからこそ、やれる事をしっかりやりたいんです!」

 結人さんがからかい半分、暇潰しで私にガイドをさせるのは構わない。ただ、私は彼の形見である懐中時計を壊してしまった件から目を背けず真摯に向き合うのみ。