ついには本人の近くでも平気で言うようになった。
　その姿を見ていると罪悪感が生まれた。

　母だけが私の異変に気がついていた。
　「何かあったの？ここ最近、元気ないし、食欲もないよね。」
　
　母の言葉に思わず涙が溢れてきた。
　本当につらいのは私じゃなくて、さきなのに。
　何で私が泣いているのだろう。
　泣いてはいけないのに。
　私は母にここまであったことを全部話すことにした。

　「私は大事な友達を傷つけた。
　あの子たちと一緒になって悪口を言った。」

　母は何も言わずにただ静かに私の言葉に耳を傾けてくれた。
　そして、こう言った。
　「傷つけてしまった子には謝りなさい。
　その子がどれだけつらくて、悲しかったか、よく考えなさい。
　一緒に悪口を言った子たちとはもう関わらないでください。
　そして、決して同じことをしないようにもう一度自分の行動を見直しなさい。
　勇気を出して、誰になんと言われようと、自分が思っていたこと、感じていたことを伝えなさい。
　一本芯の通った人になりなさい。」

　自分にウソをついて生きているより、自分に正直に生きている方がずっといい。
　嫌いな自分より好きな自分でありたい。

　もう、自分の心にウソはつかない。
　迷いと不安を脱ぎ捨てた。