ガタッとその場を立ち上がり、廊下を駆ける。


一番奥にあるその部屋に、ノックもせず押し掛けた。


「ヴィル!」


「⋯お嬢様?」


彼は、ぽかんとした様子でこちらを見上げた。


「クリスマスデートの件!おば様から聞いたよ。で、答えは?」


「あぁ、⋯いいですよ。明日、イルミネーションでも見に行きましょう」


にこりと微笑みかけ、彼はそう言った。


⋯⋯何その余裕。


今までの私の葛藤はなんだったんだ。


いやまあ勝手に私が戦ってただけなんだけど。


「分かった。明日、楽しみにしてるね」


そう言って、ヴィルの部屋を後にした。