「でも、頑張れないよ......。私には、寄り添って応援してくれる人がいないもん。大内くんが転校できたのはお母さんのおかげでしょ」
その言葉で察したのか、少し気まずそうな顔をする。
「じゃあ、俺が応援してやる。あんな言われ方してるの俺も気に食わないし、俺が寄り添う。だから、変わる努力を俺としろ!」
今までそんなことを言ってくれる人はいなかった。だからなのか、
「おい、なんで泣いてるんだよ」
焦って、私にそう聞いてきたから、手を目元に当ててみると、涙が流れている。
「あれ?なんで」
止めようとしても涙は止まってくれない。
「ごめんね、すぐ止めるからちょっと待って」
目をこすってるのに、涙がどんどん出てくる。
すると、大内くんが私の手を引っ張って、私は大内くんの腕の中にすっぽり収まった。
「こすると目が腫れるぞ。涙は流しときゃ勝手に止まる。それまで泣いてろ」
大内くんの不器用な優しさが、心に沁みた。



