秘密のメッセージを送った相手はスーパーアイドルでした。



 爽やかな笑顔を向けられたらもうドキドキしてそれ以上何も言えなくて。

 聞きたいことは全部口の中でゴニョゴニョして終わった。

 どうして女子向けの児童書ファンタジーが読みたいの?
 誰におすすめされたの?

 もしかして……、いやいや絶対あり得ない。

 特に聞いてはいないけど、Hinaは多分女の子だと思う。何となくの勘だけど。
 だから絶対違う。多分偶然だ。


「ありがとう。それじゃあよろしくね。急がないから、いつでもいいよ」

「あ、はい」


 それにしてもあの星夜くんに本を貸すだなんて、何だかすごく不思議な気分。
 普通なら絶対あり得ないことなのに。

 星夜くんは周囲に誰もいないことを確認してから、出て行った。
 人気者も大変なんだなぁと思う。


「……星夜くんに名前呼ばれちゃった」


 なんだか自分の名前が、急に特別なものになったような気がした。
 ステージの上ではあんなにキラキラしてカッコイイのに、人懐っこい犬っぽさもあるギャップがかわいい。

 私なんかに応援されても迷惑なはずなのに、ファンになっちゃいそう――。