廊下の声と足音が遠のいてから、星夜くんは安堵したように声を出す。
「よかった。俺がいたら図書室を騒がしくしちゃうだろうから」
「た、大変だね……」
TVの前で見た星夜くんはものすごくカッコよかったけど、やっぱり生で見る方が何倍もイケメンだなぁ……。
「それより、ちょっと聞きたいことがあって」
「は、はい!何でしょう?」
わわ、私に聞きたいことってなんだろう……?
「読みたい本があって探してるんだけど……あ。」
星夜くんのつぶらな瞳が私の手元を映していた。
「それ!その本」
「え?これですか?」
私はスピカ姫の表紙を見せる。
「それの一巻が読みたいんだけど!」
「えっ」
嘘!?星夜くんがスピカ姫を!?
これどちらかと言えば女子向けの小説なんだけど!?
「せ、星夜くんが読むの……?」
「うん。人におすすめされたんだ」
……えっ?



