「...??」

どういう、状況??

私はわたを追っかけて、そしたらマンションの裏に行って、そしたら...

「ひなたじゃん!お前の猫かこれー?かわいいなぁ!」

にこっ。屈託のない笑顔。

いや、なんで澄杜が居るの?!

「...あれ?お前ひなただよな?名前合ってる?」

さっきとは一転、不安そうな顔をして、こてんと首をかしげて聞いてきた。

いやかわいすぎでしょ!!!

「あ、合ってる、合ってるよ。」

「なんだそりゃ。ねるねるねるねみたいに言うなよ。」

ふは、と柔らかく笑う。

自分でツッコんで自分で笑ってる...

ギャップ萌え...

ていうか名前覚えてくれてる...

嬉しすぎて死ぬ...

「わた、とか言ってたなこの猫。先週くらいからよくここ遊びに来て、懐いちまってさぁー。危ね、持って帰るとこだったわ(笑)」

にこにこと笑顔が絶えない。

「ここ、1日陽が当たんなくてさ。なんか秘密基地みたいだろ?」

「たしかに。言われればそうかも...」

たしかにここは陽が当たっていない。

柔らかい芝生に1本の大きな広葉樹。

シンプルを追及した公園?広場って感じだ。

「い、家、ここらへんなの?」

勇気を出して自分から話題を出す。

「ん?あぁ、俺ここのマンション住み。ひなたは?」

「へっ?!私は、えと、猫荻町一丁目の...あのー、川の目の前!」

「へぇー、そっかぁ。お前、そんなとこから来てんのなー。」

わたに喋りかける澄杜。

デレッデレである。

てかしれっと住所聞かれたな。

「てゆーかさ、ひなた、俺の名前知ってる?」

「えっ?」

じっ、と真っ直ぐ見つめてきた。

「俺の、名前。」

「す、...澄杜だよね。野々谷(ののや)澄杜。」

「ほぉ、知ってんじゃん。さっきから名前呼ばねーから、俺のこと知らねぇかと思ったわ。」

安心したような顔をする澄杜。

「...覚えてるよ。」

「何をだよ?」

ちょっと食い気味に聞いてきた。

「えっと...、ほら、消しゴム拾ってくれたじゃん。」

オドオドしながら伝えると、澄杜は

「あぁー、あれね。そっかそっか。」

と言った。

その時、澄杜がちょっと悲しそうだったのは、気のせいだろうか。