最悪だ。

 浸食されてる。

 最初は嫌で嫌でたまらなかった中条くんのことを受け入れてしまっている自分がいる。


「今、中条くんのこと見てたでしょ」
「そ、そんなこと」


 体育館の壇上で、集会の司会進行をする中条くんのことを見ていると、隣にいた美幸にそう指摘された。


 いやでも待って。誰だって司会のことは見るでしょ。
 別に中条くんだから見てるわけじゃないし。


「いやー、百合も変わったよね。最初は中条くんのこと見ると顔が引きつってたのに」

「えっ、うそ」

「本当だって。今だとちゃんとリラックスしてる感じがするよ」


 そこまで顔に出てただなんて、恥ずかしい。


 まだ別に中条くんのことを好きって思ってるわけじゃない。


 でも、やっぱりちょっとだけ特別になっていた。