「最低なんだよ! 本当に、最低なの!」


 次の日になって、お昼休みを友人の来栖美幸とともに屋上で過ごしていた。

 昨日のことを思い出すと中条くんに対して怒りが湧いて来てしまうので、美幸に話して発散してるというわけだ。


「意外だね。中条くんってそういうことするタイプに見えないのに。仮にも生徒会の副会長様なわけだし」
「そう! わたしもそう思ってたの、昨日までは」


 中条晴馬。

 不愛想だけどその顔のよさによって一定のファンが付いている男子だ。

 生徒会の副会長も務めていて、真面目だと教師たちも思っている。


 ……周囲の評判と昨日の態度とのギャップがすごい。


「あはは、でも百合がそんなに怒るなんて中条くんもやるね」

「どういう意味さ」

「だーって、百合って私以外の前では基本的にYESガールっていうか、なんでも相手に都合のいい受け答えしてるでしょ。それなのに中条くん相手だとちゃんと本性出すんだなって」

「……気を付ける」

「なんで? そのままでもいいと思うよ。面白くて」


 面白がられてもな。

 うー、怒ってるのも馬鹿馬鹿しい。
 よし! 忘れよう。関わらないようにしよう。