中条くんがうちのクラスに来るのはもはや日課だ。

 特に理由もないのにやって来るから、困ってしまう。


「いつから中条たち付き合ってんだよ」


 お調子者の男子が中条くんとわたしに絡んできて、なんて言おうか迷う。

 だって付き合ってないし。


 こういう相手のことを中条くんが無視するのは分かっていたので、わたしが何か言わなければならない。


 そう思っていたのに。


「いや、まだ付き合ってない。オレの猛アタック中」
「え?」


 意外だった。きっと聞いた男子もそう思ったはずだ。

 内容もそうだし、中条くんが返事をしたことも意外なはずだ。


 わたしにとっては付き合ってないのだから内容に関しては当然の話ではあるのだけど、それでも意外でびっくりしてしまう。


 もしかして、これはこの間の成果?


 わたしが中条くんに言ったから、コミュニケーションを頑張ってみる気になったのかもしれない。



 それが嬉しくて、こっそり笑った。