やって来たのはひと気のない空き教室前。


「あのね、中条くん、あの態度はないと思う」

「どういうことだ?」

「女の子たち、みんな中条くんのこと好きなんだよ」

「オレはおまえに好かれさえすれば、他のやつのことなんかどうでもいい」


 ストレートに言われて、わたしは一瞬次の言葉を発せなかった。


 だめだ。だめだ。中条くんのペースになっちゃう。



「でも、人間関係ってものがあるでしょ。もう少しだけ優しくしてあげなよ」


 わたしだったらあんな言い方絶対にできないし、逆に言われたら傷つくと思う。

 それくらい中条くんのコミュニケーションは固い。



 少し考えた後、中条くんは頷いた。


「百合がそう言うならそうしてみる」