それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 話を聞きながら、私は視界の端に映るキッチンへ意識を向けた。

 彼女はきっと親子水入らずで話せるように席を外してくれたんだ。三者面談に来たくないわけでも、私の進路をどうでもいいと思っているわけでもない。

 それは、料理をしながら優しい顔つきでこちらを見ている様子で伝わってくる。

 お父さんは、こんな気遣いのできるところに惹かれて再婚を決めたのかな。

 お母さんを亡くして七年。たくさん考えて、視野を狭めないで掴み取った選択肢が彼女との再婚だったのだろうか。

 それなら、私の視野は狭くていい。

 視野を広げることが大切な人への思いを薄めてしまうのなら、私は視野を広げたくなんてない。

「……着替えてくる」

 それだけ言って、私は二階へと上がった。

 自分の部屋に入り、真っ先に机の上の写真立てに「ただいま」と声をかける。