それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 驚きに思わず息を詰めて隣に座る楓先輩を見つめると、先輩もこちらをじっと見返してくる。

 スカートのプリーツを気にしながら座っていた京ちゃんは楓先輩の一連の動きを見ていなかったようで、腰を落ち着けて「なに?」といつもの笑顔で尋ねてきた。

「う、ううん、なんでもない……」

 ぎこちない笑顔で返すと、特に用はないと判断したのか、そのまま日野先輩とおしゃべりをしだした。

 その間も、先輩は微動だにせずにこちらを見つめたまま。心臓がお店中に響きそうなほど騒ぐ。目をそらしたいのにそらせない。

「楓、先輩……?」

 カラカラの喉で名前を呼べば、今日何度目かの呆れた顔で「自分のことには鈍いな」と笑う。

「みんなでじゃなくて、ふたりで行こう」

 潜めたせいで低く掠れた甘い声が、私の鼓膜を震わせる。まるで内緒話のような囁き声は、私の脳裏にライトアップされた美しい大観覧車を呼び起こす。