私と同時に隣から同時に手が伸びてきて、指同士が触れそうになる。あっと思った、次の瞬間。ものすごい勢いで楓先輩の手が引っ込められた。
まるで、絶対に私の指に触れたくないとでも言うように。
「……っと、悪い。同じポテト引っ張り合いするとこだった」
ほんの一瞬、先輩の顔に動揺の色が見えた。
冗談めかして笑っているけれど、私はそれが作り笑顔だということに気付いてしまった。
この半年、ずっと遠くから楓先輩を見てきたからわかる。あの一線を引いたような硬質な笑み、絶対に触れたくないという明確な意志。
以前から図書室で感じていた違和感を、今も同じようにつぶさに感じ取れ、胸がズキンと痛んだ。
先輩はすぐに何事もなかったかのような態度で、「それより」と持っていたシャーペンでテーブルをコツコツとたたく。
「ここ。大事だから覚えて。二次関数は基本三つに分類されるから、問題文からどの条件に当てはまるかがわかれば簡単に解ける」



