それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 立ち上がる際にグラスを持ってあげる日野先輩と、その厚意を自然と受け取り、小さくお礼を言って微笑む京ちゃんは、誰が見ても美男美女でお似合い。騒がしいファミレスにいても映画のひと幕のように絵になる。

 そんなふたりの様子を見て、彼女の恋が着実に進展しているのを感じた。

 たった五日で、京ちゃんはあっという間に日野先輩と仲良くなった。連絡先も交換し、話し方もだいぶ砕けた感じになっていて、かなり距離が縮まっている。さすがのコミュ力だと尊敬してしまう。

 球技大会の種目も、バスケとバレーを代わってもいいと言ってくれる子が見つかったらしく、「サッカー、応援しますね!」としっかりアピールしていた。

 私はというと、相変わらず楓先輩と話すのはドキドキするけれど、先輩がフランクに接してくれるおかげで、以前よりは緊張しなくなった。

 放課後に一緒にいる楓先輩はクールで寡黙というイメージとは違い、普通にしゃべるし、笑顔を見せてくれる。

 それはきっと距離が縮まっているから……だと思いたい。

「菜々? どうした?」

 ぼうっと考え事をしていた私の顔を楓先輩が覗き込む。