どのくらい時間が経ったのかわからないけれど、ようやく我に返って気付いたのは、助けてくれた誰かが、ずっと私を守るようにそばにいて、手を握っていてくれたこと。
二月の冷え切った空気の中、寄り添ってくれる体温や、握ってくれた手の温かさが、この時の凍りついた私の心を癒やしてくれた。
おそるおそる顔を上げると、目の前には私が合格したばかりの高校の制服を着た男子生徒がいた。
意志の強そうな眉に切れ長の目、私よりはるかに大きな身体も、普段あまり男子と接してこなかった私には少しだけ怖そうに見える。
迷惑をかけてしまったし、怒られるかもしれない。
私は不安に感じて縮こまったが、彼は躊躇いがちに私の頭にぽんと大きな手をのせて、安堵のため息とともに微笑んだ。
切れ長の目を少しだけ細め、すべてを包み込んでくれそうな包容力とでもいうんだろうか、そういう優しくて柔らかい表情だった。
頭の中が真っ白になって、彼から目を逸らせなかった。



