何度も時計を確認するなど、どことなく集中できないまま時間が流れる。四時半を少し過ぎた頃、図書室の扉が開き、楓先輩と日野先輩が入ってきた。やはりふたり揃うと、とても目立つ。周囲の視線が一斉にそちらに向かうのがわかった。
日野先輩が先に私たちに気付き、そのあとについて楓先輩もこちらにやってくる。
「ごめんねー、少し遅くなった!」
「いえ、大丈夫です」
日野先輩に答える京ちゃんの声がいつもより高くて、私は緩みそうになる頬を抑えるのに必死だった。
日野先輩は京ちゃんの隣に座る私にも視線を向けて、律儀に挨拶してくれた。
「はじめまして、日野です」
「あっ、はじめまして。佐々木菜々です」
学校のアイドルと名高い日野先輩のキラキラオーラは健在で、人懐っこい笑顔がとても素敵だ。
でも楓先輩を前にした時の胸の高鳴りや、ぎゅっと苦しくなるような甘い痺れを感じることはなく、やっぱり私は初めて見た時から楓先輩に恋をしていたのだと再確認した。
先輩たちが私たちの向かいに座り、スクールバッグから勉強道具を出す。



