私は耳にあてたスマホをぎゅっと握りしめ、机に置いてある家族写真に視線を向けた。
どれだけ好きになっても、もしも恋が叶ったとしても、永遠に続く想いなんてないと、私はどこかで諦めているのかもしれない。
それなら遠くでこっそり眺めているだけでいい。そうすれば、誰も傷つかない。
気持ちが変わってしまったのを責めたり、永遠を信じて裏切られたりしない。
だけど、そんな私の拗らせた思考回路を、初恋に頬を染める京ちゃんに話せるわけがない。
そんな風に思っている一方で、京ちゃんの想いが実ればいいと願っているのも本音なんだから。
「あの、だからね、この前言ったみたいに、推しは遠くで――――」
「もういい」
微妙な空気になりそうなのを察して、なんとか冗談にして流そうとした私の言葉を、京ちゃんの鋭い声音が遮った。
「話したくないなら、もういい」
「あっ」
「ごめん、今日は切るね」
ポロン、と通話終了の情けない音が鳴る。



