それでもキミと、愛にならない恋をしたい


お父さんは見た目こそ悪くないし優しいけれど、どこかぼんやりしていて男らしさからはかけ離れている。お茶目といえば聞こえはいいけれど、すっとぼけた性格だし、私だったら絶対に結婚したくないタイプだ。

真央さんならお父さんみたいなおじさんじゃなくて、もっと若くてカッコいい人を選べるはずなのに。

自分の中に降り積もる疑問と不満がお腹の中で徐々に膨らみ、今や息もできないほど身体中を圧迫している。

幸せそうにしている人に対して不満を持つなんて、私はなんて心が狭いんだろう。

だけど、お母さんだって病気になりたくてなったわけじゃないし、生きてお父さんとずっと一緒にいたかったはずなのに。

お母さんの気持ちを代弁すればするほど、苦しくて身動きが取れなくなる。

向かい合って食事を終えた後は、そのまま今日一日あったことを話すわけでも、リビングのソファでテレビを見るでもなく、すぐに部屋に戻る。

それに対して思うことがあるだろうけど、彼女はなにも言わずに、でも少し寂しそうに微笑んで私を見送っていた。