京ちゃんと喋りながら視線を窓の下に向けると、降り注ぐ太陽の光が佐々木先輩にだけ強く当たっているかのようにキラキラ輝いて見えた。

端正な容姿で人気の佐々木先輩だけど、注目されるのは外見だけではない。

理系の中でも特進クラスと言われる八組に在籍し、成績は常にトップクラス。

中学三年の時に県大会で優勝したという弓道を高校でも続けていて、この夏に引退した三年生から引き継いで主将になったらしい。

まさに文武両道。少女漫画にでてくるヒーローみたいな男子で、付き合いたいなんておこがましいことは思ったこともない。

私とは別世界の人。先輩とはいえ同じ学校に通っているのに大げさだけど、そのくらい遠い存在だ。

「だって菜々、よく佐々木先輩の方見てるし。好きなのかなって」
「ううん、違う違う! そういうんじゃないよ」
「えー? そうなの?」

好き、とか、そういうんじゃなくて。