サラサラの黒髪に切れ長の瞳、私より三十センチは高そうな長身で、日野先輩に比べると少し怖そうな印象だけど、彼もまた学校中の女子から絶大な人気を誇っている。
肩にブルーのラインが入った白い体操着に、シンプルな紺色のジャージ姿。普段ダサいと思っている指定の体操服だって、彼らが着るとおしゃれに見えてくるから不思議だ。
ふたりは仲がいいようで、よく一緒に歩いている姿を見かけるし、実際同じ中学出身なのだそう。
「日野せんぱーいって呼んだら、こっち向いてくれるかな?」
「京ちゃん、呼べるの?」
「いや、呼べないけどさ」
京ちゃんが小さく肩を竦める。
彼らの周りには同じクラスの女子四人が取り囲むようにして歩いているから、とても三階から声をかけるなんてできる雰囲気ではない。
もしそんなことをしようものなら、あの先輩たちから睨まれてしまいそう。