どうしよう、気持ち悪いストーカーみたいに思われてたら最悪だ。今すぐ回れ右をして、先輩の視線から逃れたい。
内心頭を抱えている間も、隣に立つ京ちゃんが私の腕を肘でつつくけど、先輩を前になにも言葉が出てこない。
きっと憧れの推しと話すチャンスだよ、と背中を押してくれているんだろうけど、とても会話なんてできそうにない。
事故のことも、図書室で佐々木先輩をよく見かけることも京ちゃんには話せていないから、私がなぜひと言も口をきかないのかと不思議に思っているだろう。
結局、京ちゃんに向かって小さく首を横に振り続ける私を見て業を煮やした彼女が、先輩の質問に答えてくれた。
「勝手に中を覗いてすみません。あの、知り合いがどの種目に出るのか知りたくて……」
「あぁ、なんだ。それなら中に入って見ればいいのに」
「え? いいんですか?」
佐々木先輩の視線が私から京ちゃんに移ったことでようやく正気に戻り、当初の目的を思い出した。
そうだ。日野先輩の名前を探さなくちゃ。
先輩の許可をもらったので、京ちゃんとふたりで教室に入り、もう一度ゆっくり眺めて〝日野和樹〟の文字を探す。



