それでもキミと、愛にならない恋をしたい


「ご、ごめんなさい……っ」

 咄嗟に引こうとした手を、楓先輩が優しく包んだ。

「やっぱり菜々の心の声は、優しさで溢れてる」
「……え?」
「口にしなくても心から俺を心配してくれてるって、ちゃんと伝わってる。ありがとう」
「そんな、私は、なにも……」
「今も希美をひとりにした罪悪感は胸にある。きっと一生抱えて生きていくんだと思ってる。でも、こうしてそれを口にできるのは、菜々のおかげなんだ」
「わ、私……?」

 先輩は包み込んだ手をほどき、指を絡めて繋ぎなおす。いわゆる恋人繋ぎに、こんな状況なのにドキッと心臓が高鳴った。

「菜々は覚えてないと思う。俺たちが本当に初めて出会った日のこと」

 ――――本当に、って? それは、あの事故から助けてくれた日じゃないってこと?