「じゃあ、恋愛する気がないとか、忘れられない人がいるって、日野先輩に話したのは……?」
「こんな力があって、ずっと他人と一線を引いてた。表面上は仲が良くても、なんでも話せる相手はいなかったし、誰かを好きになるなんて考えたこともなかった。それに……希美が死んだのは自分のせいだって思ってた」
強烈すぎる言葉に、一瞬意味が理解できず、私は固まったまま先輩を見つめた。
思いがけない事実を連続で告げられ戸惑ったが、私は一旦感情を横に置き、聞き役に徹することにする。今は口を挟むべきではない気がした。
「あの日、希美と一緒に本屋に行く約束をしてた。でも俺は友達と話し込んでて、すぐに追いつくからって希美だけ先に行かせた。その時、事故が起きた」
想像するだけで辛い現実が希美さんを襲った。居眠り運転の車が起こした事故に巻き込まれ、帰らぬ人となった。
それを知った時の先輩の衝撃はどれほどのものだったのだろう。ほんの数分前まで学校で顔を合わせていた幼なじみが、突然命を奪われてしまっただなんて。
ショックなんて言葉では言い表せないほどの絶望が、中学三年生だった先輩の肩にのしかかったはずだ。
けれど、それは決して先輩のせいではない。



