それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 希美さんは、楓先輩の恋人じゃなかった……?

 日野先輩から話を聞き、それを確かめることなく鵜呑みにしてしまった。学校を休み、飛行機を使って命日当日にお墓参りに行くくらいだから、きっととても大切に想っていた恋人だと信じて疑わなかった。

「もしかして日野から聞いた希美のことって、それ?」
「……はい」
「悪い。菜々が噂を聞いて苦しむんだったら、ちゃんと中学の頃に誤解を解いておけばよかった。日野が勘違いするほど噂が広がってたのか……」

 先輩は後悔を滲ませ、口元を歪めた。

「希美が事故に遭った直後の俺はかなり虚ろだったと思う。現実を受け止めきれなくて、受験勉強どころじゃなかった。それもあって付き合ってるって噂が真実味を増したのかもしれない。日野と今みたいに話すようになったのも、実は高校に入ってからなんだ」
「そうだったんですね」

 とても仲が良さそうだし、中学が同じだと知っていたから、付き合いは長いのかと思っていた。