希美さんの明るい人柄ゆえか、楓先輩も柔らかい表情で話している。彼女に会ったことのない私も思わず笑みが零れた。きっと友達も多くて、とても素敵な人だったんだろう。
……ん? あれ、先輩、今なんて……。
「イケメンの、彼氏を作る……?」
「そう。可愛い制服着て、髪伸ばして、イケメン彼氏作って青春を謳歌したかったんだって。不純だろ」
「え……だって希美さんは、楓先輩と付き合ってたんですよね……?」
希美さんには、可愛い制服に頼らなくてもずっとそばに〝イケメンな彼氏〟がいたはずなのに。
私は不思議に思って先輩を見上げると、片手で顔を覆って「やっぱりか……」と大きなため息をついている。
「なんで変な誤解を生んだのかわかんないけど、俺と希美は単なる幼なじみ。むしろ家族みたいなもんだよ」
「家族……?」
「言ったろ? ガキの頃からずっと一緒に育ったんだ。今さら女子として見たりしないし、向こうだって一緒だよ。中学の時は一緒に帰るだけで周りから『付き合ってんの?』とか言われて、鬱陶しかった記憶しかない」
本当に煩わしそうな顔をして言う先輩に、私は唖然とする。



