「……原口希美さんについて、聞いてもいいですか?」
「うん。俺も、菜々に話したいと思ってた」
そう告げられ、不安と緊張から胸がドキドキして落ち着かない。
だけど、きちんと聞かなくては。これから自分がどうすれば後悔しないのか、どうしたら幸せになれるのか、しっかりと考えるために。
「希美は同じマンションに住んでた幼なじみで、元々母親同士が交流があったらしい。俺の両親が俺の力を知ってからは、仕事を理由に頻繁に希美の家に預けられてた。兄妹みたいに一緒に育ったんだ」
楓先輩が話してくれたのは、幼い頃からの希美さんとの思い出。
活発で運動神経のよかった彼女はずっと陸上の選手だったことや、勉強はあまり得意ではなかったこと、激辛好きで食事にはなんでもタバスコを入れていたことなど、まるで昨日も会っていたかのように淀みなく話す。
「うちの高校を受けたいって言い出した時は、俺だけじゃなく希美の両親も無理だって説得してたな。でもあいつ、『あの制服着てイケメンの彼氏を作る』って聞かなくて。結局部活を引退したあと、俺が勉強を教えてた。不純な動機だったくせに、たった三ヶ月でめちゃくちゃ成績が上がったんだよ」



