それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 恋と愛の違いを考えたことなんてなかったし、私はまだ恋を知ったばかりで、お母さんの思いを受け入れることはできても、全部を理解できたわけじゃない。いつか大人になったら、お母さんの言う〝愛〟がわかるようになるのかな。

 私が話し終えると、楓先輩は長い息を吐き、じっとなにかを考えた様子だ。

「……優しくて強い、素敵なお母さんだな」

 お母さんを褒められたのが嬉しくて、私は笑顔で大きく頷いた。

「はい」

 幸せに生きていくために誰かを好きになることは、決して裏切りではない。永遠に故人を偲んで生きていく道もあれば、新たに伴侶を見つけて寄り添って歩む道もある。

 お父さんや真央さんと本音で話し、お母さんの深い愛情の詰まった手紙を受け取った今、ようやく受け止めることができた。

 私は大きく息を吸い込み、ふうっと静かに吐き出してから、ずっと聞くのが怖かった彼女について尋ねた。