「やっぱり、あの佐々木楓くんというのは彼氏なの? いつから付き合ってるの? サラッと流そうとしてるけど、たくさん泣かされてるのならお父さんは反対です! そもそもまだ菜々に彼氏なんて」
「わー! もうストーップ!」

 さっきまでお母さんの手紙に肩を震わせて泣いていた人とは思えないほど、あからさまに不満を顔に出し、口を尖らせて問い詰めてくる。私はお父さんの方に両手を突っ張って制止した。

「それより、楓先輩は家に来たあと、どうしたの?」
「学校に行きなさいって言ったよ。平日なんだから」
「自分は仕事サボったのに」
「こら、人のことは言えないでしょ」
「……すみません」

 お父さんがポケットからスマホを取り出す。

「九時過ぎか。真央が心配してるだろうし、帰ろうか」
「うん」
「……佐々木くんには、菜々が落ち着いたら連絡させると伝えてある」
「えっ……?」