安心させるように微笑んで「それより早く行こう」と促した。黒板を消されてしまったら、確認する方法は本人に聞くしかなくなり、さらにハードルが上がってしまう。
「ちゃんと確認して、先輩のカッコいい姿を見逃さないようにしなくちゃ」
「ありがとう、菜々」
嬉しそうな京ちゃんに頷き、二階の廊下に足を踏み入れる。
二年八組は階段から一番遠い、廊下の突き当たりの教室だ。
LHRを終えて部活に向かう先輩が多く、大きなスポーツバッグを持って階段に向かう男子生徒の波に逆らって歩く。
校舎自体は三階と同じ作りなはずなのに、どこか雰囲気が違うのは、やはり男子生徒が大半を占めているからなんだろうか。
もちろん女子の先輩もいるけど、圧倒的に男子が多い。まるで男子校に忍び込んだ気分だった。
京ちゃんも同じことを思ったのか、不安そうな顔で私の方を見る。
やはり廊下を歩いているだけで四方から物珍しそうな視線を感じる気がして、緊張で肩が竦んでしまう。
それでもなんとか八組の前までたどり着き、そっと教室の中を覗いてみた。



