きっと楓先輩にとって一番言われたくない言葉を、大声で……。
あぁ、もうダメだ。私は……最低だ。
「ごめ……んなさ……」
「菜々。大丈夫だから、絶対触らないから落ち着いて」
「違う、ごめんなさい、今は……ひとりにして、ください……」
私はシーツを頭まですっぽりとかぶり、亀のように布団の中に引きこもった。
これ以上、楓先輩にみっともないところを見せたくない。
「菜々、泣いてる理由を教えて。ちゃんと話そう」
布団を剥いで無理矢理にでも私に触れればわかるのに、先輩は決してそうしようとはしない。
いつだって、口下手な私の言葉を待ってくれる。
そんな優しい先輩が好きで、だからこそ苦しい。一緒にいたら、どんどん好きになってしまう。



