それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 どこかスッキリした表情で先輩が話すのを、私は呆然と見つめる。

「希美に、菜々のこと話してきたんだ」
「…………私?」

 ドクン、と嫌な予感に血の気が引いていく。

 これから先輩がなにを言おうとしているのか、私の想像が自惚れでなければ、それは決して言ってはならない禁断の言葉だ。

 それなのに、どこかでその言葉を欲している自分もいる。

 最低。最低だ。

 俯いたまま、震える唇を噛みしめる。どんどん呼吸が浅くなって、息が荒くなりそうなのを必死で堪えた。

 苦しい。苦しい。

「彼女ができたって。菜々のおかげで前向きになれたし、ちゃんと青春してるって、今めちゃくちゃ幸せだって報告してきた」