「あら、少し熱もあるわね。お昼までベッドで休んで様子を見ましょう。ダメそうなら早退しましょうか。空腹でも飲める薬があるけど、飲んでおく?」
「はい、ありがとうございます」
錠剤と紙コップに注がれた水を受け取り、喉に流し込む。上靴を脱いで一番奥のベッドに横になった。
「あと、これも。ここまで腫れたら、あとは冷やすより温めたほうがいいわ」
目元に温かいタオルが当てられる。じんわりとしたぬくもりが気持ちいい。
「色々あるだろうけど、食事と睡眠はとらないとね。悩めるのも体力あってこそなんだから」
「……はい」
「熱もあるし、今はなにも考えずに寝なさい。もしも誰かに話したければ、いつでもここに来ればいいから」
ろくに食事も取らずに寝不足な上、パンパンに目を腫らしていれば、なにかあったんだろうと察しがついたのだろう。田村先生は無理に聞き出そうとしたり長々とお説教をしたりすることなく、ただホットタオルを渡してくれた。
押し付けがましくない優しさに、少しだけ気持ち悪さが和らいだ気がした。
「ありがとうございます。少し、寝ます」



