それでもキミと、愛にならない恋をしたい


 残念そうな希美の両親に頭を下げて別れ、敷地内にある原口家の墓へ向かう。

 バス停の近くのスーパーで買った小さな花束と、希美が生前好きだったジュースの缶、それから激辛と表示のあるスナック菓子を墓前に供えた。

「久しぶり、希美」

 線香をあげ、両手を合わせて彼女に話しかける。

 希美の母と俺の母親が仲がよかったのもあり、幼い頃からよく一緒に遊んでいた。俺の母親は働いていたから保育園に、希美の母は専業主婦だったから幼稚園にそれぞれ通っていたが、同じマンションに住んでいたため交流があったようだ。

 小学校に入学して少しした頃、俺の能力を完全に理解した両親が俺を恐れつつ疎み始め、仕事を理由に放課後は原口家へ預けられることが多かった。

 避けられている。そう理解した時は寂しさや怒りが湧いたが、すぐに諦めて受け入れた。

 互いにひとりっ子だったせいで遊び相手ができて嬉しかったし、希美の母は嫌な顔ひとつしないで俺の面倒を見てくれた。