それでもキミと、愛にならない恋をしたい


この図書室で時間を潰すようになって少し経った頃、彼も週に何度かここに通っていることに気がついた。

先輩にも決まった席があるらしく、いつも私と反対側の奥の窓際に座る。中央の席に誰もいないと、私の位置からは彼の凛々しい横顔が見えた。

ひとりで来て、本を借りては真剣に読み、だいたい十五分程度で帰っていく。

小説を読むには短い時間だし、なにか調べ物だろうか。それにしては定期的に来ているし、つい気になってしまう。

先輩が図書室に来るたび、こっそり目で追っていると、彼の振る舞いにある違和感を覚えた。

佐々木先輩は近寄りがたい雰囲気があるけれど、それでもめちゃくちゃモテる。

図書室でも彼に話しかける人はいて、邪険にしてはいないけど、誰と話す時も常に一定の距離を保っている。人よりパーソナルスペースが広いのか、少し不自然なほど離れている気がする。

貸出カウンターで本を借りる時も、いつも手渡しではなくデスクに本を置き、滑らせるようにして渡している。相手の手に触れたくないという意思表示にも見えた。